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呼吸器よろずQESTION?


呼吸器よろずQESTION?−1
患者さんからよく訊かれる疑問にお答えしていきます。
今回は、咳が長く続いたら?

◎のどの痛みや発熱で始まったのであれば⇒いわゆる「感冒」の可能性が高いと考えます。細菌やウィルスが気道(のどや気管支)に感染することで炎症が起こり、粘膜が腫れてはがれたりします。人によってその粘膜の修復に時間がかかり、過敏になっているため咳が出やすくなっているのです。火傷などの痕に残った皮膚の感覚に似ています。
咳は長いと1〜2ヶ月続くこともあります。治療としては抗生物質や咳止めなどになります。
ただ、このような場合結核や肺がんなどの他の病気を鑑別するために胸のレントゲン写真を撮る必要があります。

◎のどの痛みも熱もない場合、例えば最近動物を室内で飼育しているとか毎年梅雨時などの季節性に関係があれば⇒感染症よりもアレルギーによる病気の可能性が高いと考えます。
気道のアレルギーといいますと、下記のような疾患があります。

? アレルギー性鼻炎→慢性副鼻腔炎⇒副鼻腔気管支症候群:慢性副鼻腔炎のある方の10%前後に喀痰を伴った咳が持続します。6ヶ月以上の内服治療が必要になります。

? 薬剤性アレルギー⇒特に血圧のお薬を服用し始めてから発症。例えばレニベースなどのACE阻害剤と呼ばれる降圧剤でよくみられます。多くの場合中止すれば直ります。

? 胃食道逆流症GastroEsophagial Reflex Disease:慢性咳漱の10〜40%にみられます。食道に胃酸の逆流があると気道の過敏性と気道抵抗の上昇が認められています。

? 咳喘息Cough Variant Asthma:1979年にcorraoら(京都大学)による提唱。ゼーゼーするような息苦しさがなく、喀痰は少なく頑固な乾いた咳が多くみられ持続する。30〜40%が典型的な喘息に移行。喀痰・鼻汁や血液の検査でアレルギーの細胞(好酸球)が高率にみられます。内服で効果がないときは早期に吸入ステロイド剤を併用します。治療により気道の可逆性を認めるのが特徴です。

? アトピー咳漱Atopic Cough(アトピー素因と関連する咳漱):1989年に藤村ら(金沢大学)によって提唱されました。すべての年齢に分布します。ほとんどの症例に喘息以外のアレルギー疾患の既往歴または合併がみられます。太い気管支にアレルギー反応がおこり、長期にわたる乾性咳漱が持続します。女性に多く、時間帯は夜間から早朝に多いです。誘因として冷気、暖気、運動、受動喫煙、香水などが多いとされます。やはり、喀痰検査ではアレルギーの細胞が80〜90%と高率にみられます。喘息への移行は認めません。治療では気管支拡張薬(例えばテオドール、ホクナリン・テープなど)は無効で、吸入ステロイド剤を使用する場合が少なくありません。咳が軽快すれば、治療の中止は可能です。約50%の方に再発がみられますが、同じ治療で軽快します。特徴として気道可逆性は陰性で、肺の機能は正常といえます。


? 気管支喘息:専門領域のため余白の関係で、次回にお話したいと思います。


※?の診断基準(下記の1〜4のすべてを満たす)
 1)喘鳴や呼吸困難を伴わない乾性咳漱が3週間以上持続。
 2)気管支拡張薬が無効。
 3)アトピー素因を示唆する所見(注1)または誘発喀痰好酸球
増加の1つ以上を認める。
 4)ヒスタミンH1−拮抗薬または/およびステロイド薬にて
咳漱発作が消失。
               
  注1:アトピー素因を示唆する所見
1) 喘息以外のアレルギー疾患の既往あるいは合併
2) 末梢血好酸球増加
3) 総IgE値の上昇
4) 特異的IgE陽性
5) アレルゲン皮内テスト
                        (咳漱研究会)