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やさしい病気の話? 慢性呼吸器疾患の急性像悪


慢性呼吸器疾患の急性像悪について

     慢性呼吸器疾患とは?

呼吸器の病気には上気道炎、急性気管支炎、肺炎のように数日の経過で発症して比較的短期間で治る急性の病気と気管支喘息や慢性気管支炎のような長期的な治療を要する慢性の病気(⇒慢性呼吸器疾患)とがあります。

慢性呼吸器疾患には気管支喘息や慢性気管支炎のほかに、肺気腫、肺繊維症(間質性肺炎)、気管支拡張症、肺結核後遺症、非結核性抗酸菌症、びまん性汎細気管支炎、塵肺などがあります。これらの病気を持つ患者さんは障害を受けた肺や気管支のため種々の合併症を起こしやすい状態にあります。

     急性増悪とは?

季節の変わり目や冬季になると、慢性疾患の患者さんが短期間に発熱、咳、痰などの症状が悪化することを「急性増悪」といいます。原因としては感染や喘息発作、心不全、喀血、気胸などがあり、他に筋肉疲労による呼吸状態の悪化もみられます。これらの状態が加わると健康な人に比べて重症化しやすく、ときに入院治療を要することもあり早期の受診・治療が大切になります。

1       感染

急性増悪の原因でもっとも多いのが感染です。発熱、咽頭痛、咳のほかに色の着いた膿性の痰があれば、細菌感染を考えます。通常はインフルエンザを始めとした種々のウィルス感染が先行しているようです。インフルエンザウィルスの感染に対しては有効な抗ウィルス薬がありますが、他の風邪症候群のウィルスには有効な薬剤はなく安静にして水分補給や解熱剤などの対症療法を行うことになります。細菌感染に対しては抗生剤投与が必要となり、治療が遅れると肺炎に進行しやすくなります。原因となる細菌は肺炎球菌とインフルエンザ桿菌(インフルエンザウィルスとは別物)が半数以上を占めており、モラクセラ・カタラーリスを加えたこの三つが大部分の原因菌となります。治療のための抗生剤は原因菌と患者さんの状態で選択されます。

2       喘息発作

呼吸困難、咳、喘鳴(ゼーゼーする音)が主な症状です。感染に伴って気管支喘息の患者さんだけでなく、肺気腫や慢性気管支炎の患者さんでもみられることが多いです。喘息発作が起こると短期間のステロイドや気管支拡張剤の点滴や内服が必要となります。

3       心不全

淡桃色や泡状の痰や呼吸困難に加えて、顔や下肢がむくんだりすれば心不全の合併を考えます。喘息発作のようにゼーゼーすることもあります。慢性呼吸不全で酸素療法を受けている患者さんでは肺機能の低下による心臓への負担から心不全になりやすい傾向があります。体重は毎日計測してください。急な体重増加があれば受診が必要となります。

4       喀血

肺の中で出血が起こった場合、痰の一部に血液が混入したときを血痰といいます。痰全体が血液の場合がありこれを喀血といいます。慢性呼吸器疾患の中では気管支拡張症にみられることがあります。ただ鼻血や歯茎から出血があると間違いやすいので注意が必要です。判断できない時は受診してください。少量出血の場合は安静や止血剤などで改善しますが、出血量が多い場合や持続するときは入院治療を要します。

5       気胸

慢性呼吸器疾患の中では肺気腫の場合にみられ、肺の表面に穴が開きパンクしたような状態を気胸といいます。急な胸痛、呼吸困難や深呼吸ができないといった症状がでたら、気胸を疑う必要があります。胸の中に漏れた空気を抜くために入院治療が原則です。

 

      予防対策

   急性増悪の予防対策としては、最大の造悪原因である感染の予防が重要であるため普段からのうがいや手洗いに加えてインフルエンザや肺炎球菌の予防接種が大切になります。次に適度な栄養、負担のないリハビリによる筋力の維持、十分な休養、継続した正しい薬の服用が大切です。